生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように、80歳で20本歯を残すことを目指す「8020(ハチマルニイマル)」運動は、一般市民の間でも広く知られているようです。ところが、「カミング30(噛ミング30)」運動をご存知の方はまだまだ少ないようです。
 「噛ミング30」運動とは、歯科保健の分野から食育を推進するためのキャッチフレーズです。ひとくち30回以上噛むことを目標として、より健康な生活を目指すものです。
 その名の由来は、赤ちゃんの離乳食の望ましい硬さが研究されるなかで、大人が20~30回咀嚼した硬さを適当とする結果から、30回と決めたことによるそうです。31回は良くて29回では不十分ということはないわけです。
 ハンバーガーなどのあまり噛まずに飲み込めるファーストフードを子どもたちが好むようになり、食生活が大きく変化しています。こうした食事は、日本の伝統食に比べて、早食いや過食になりやすく、肥満をまねく原因とも言われています。
 いま、食事や食生活を見直す「食育」への注目が高まっています。
 学童期からよく噛んで食べるという習慣は、肥満予防だけでなく、五感(聴覚、臭覚、視覚、味覚、触覚)を通じて味わい、好ましくない食生活や生活習慣を改善することにもつながる、食育の一環としてもたいへん重要なことです。
 ひとくち30回、大人も子どもも箸をおいてよく噛もう!