人類が、初めて甘味料と出会ったのは、ミツバチのミツです。
 その後、サトウキビからつくられる砂糖が、今日世界中で使用されている砂糖の大半を占めるようになってきました。
 サトウキビの原産地は、たぶん東南アジア(インド原産説もあり)で、その後インドに伝わりました。起源前約1000年ごろのインド、バラモン教の経典にサトウキビの記述があります。それがヨーロッパに持ち込まれたのは、紀元前334年、アレキサンドロスの東方遠征の時です。その後中世の17世紀くらいまでは、その希少性と抜群の甘さから、どんな病気にでも効く万能薬として重宝されていたのです。
 日本へは、8世紀に大陸(唐)からの渡来僧『鑑真』によってもたらされたとされ少し大きい文字、大切な宝物として扱われていました。
 室町時代に入ると、砂糖は中国から輸入されるようになり、菓子の原料として用いられ、羊羹などの和菓子が作られ始めました。もちろん高価で、庶民が簡単に手にするシロモノではありませんでした。
 江戸時代の初期には、奄美大島においてサトウキビが栽培され、その後、琉球でも栽培が始まりました。このころから生産量も増え、やっと庶民の口にも入るようになってきました。サトウキビ以外の砂糖は、テンサイ(サトウダイコン)などの植物から精製されるものが大半ですが、その技術が開発されたのは近代に入ってからです。
 現代社会では、砂糖の過剰摂取による健康障害や、むし歯との関係が取りざたされていますが、その反面、疲労回復や脳の唯一のエネルギー源であるグルコースを含むなど効用も認められていますので、難しいところです。
 ただ、砂糖摂取量とむし歯の出現との相関関係は歴然としていて、その理由はむし歯の原因菌は砂糖をエサに増加するからです。そして砂糖は原因菌を歯の表面にくっつける働きもするので、二重の意味でむし歯をつくりやすくするのです。
 やはり、どんなものでも摂りすぎは健康にとって良くないですね。私たちと数千年もの長いおつき合いの砂糖とは、今後もうまく付き合っていきたいものです。