枚方市の「宮園歯科日記」

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カテゴリ: 食育

 砂糖をとり過ぎると、血液は酸性になります。血液の酸性を中和するために血液中のカルシウムが多量の消費され失われます。同時に体内では、砂糖がエネルギーに変わる時、多量のビタミンB1も消費され失われます。つまり砂糖のとり過ぎの方は、虫歯になり易いだけでなくカルシウム欠乏症やビタミンB1欠乏症に陥り易いです。
 ここで米国の女子大学寮で行われたビタミンB1欠乏症についての実験をご紹介します。ビタミンB1を殆ど含まない食事を続けた結果は以下の通りです。
 ●1か月目…変化なし
 ●2か月目…記憶力低下、イライラ
 ●3か月目…ケンカの多発
 これは、多量の砂糖が恐ろしい薬品に思えてくる様な話ですね。やはり、食生活のバランスが大切ですね。
  

 生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように、80歳で20本歯を残すことを目指す「8020(ハチマルニイマル)」運動は、一般市民の間でも広く知られているようです。ところが、「カミング30(噛ミング30)」運動をご存知の方はまだまだ少ないようです。
 「噛ミング30」運動とは、歯科保健の分野から食育を推進するためのキャッチフレーズです。ひとくち30回以上噛むことを目標として、より健康な生活を目指すものです。
 その名の由来は、赤ちゃんの離乳食の望ましい硬さが研究されるなかで、大人が20~30回咀嚼した硬さを適当とする結果から、30回と決めたことによるそうです。31回は良くて29回では不十分ということはないわけです。
 ハンバーガーなどのあまり噛まずに飲み込めるファーストフードを子どもたちが好むようになり、食生活が大きく変化しています。こうした食事は、日本の伝統食に比べて、早食いや過食になりやすく、肥満をまねく原因とも言われています。
 いま、食事や食生活を見直す「食育」への注目が高まっています。
 学童期からよく噛んで食べるという習慣は、肥満予防だけでなく、五感(聴覚、臭覚、視覚、味覚、触覚)を通じて味わい、好ましくない食生活や生活習慣を改善することにもつながる、食育の一環としてもたいへん重要なことです。
 ひとくち30回、大人も子どもも箸をおいてよく噛もう!

 人類が、初めて甘味料と出会ったのは、ミツバチのミツです。
 その後、サトウキビからつくられる砂糖が、今日世界中で使用されている砂糖の大半を占めるようになってきました。
 サトウキビの原産地は、たぶん東南アジア(インド原産説もあり)で、その後インドに伝わりました。起源前約1000年ごろのインド、バラモン教の経典にサトウキビの記述があります。それがヨーロッパに持ち込まれたのは、紀元前334年、アレキサンドロスの東方遠征の時です。その後中世の17世紀くらいまでは、その希少性と抜群の甘さから、どんな病気にでも効く万能薬として重宝されていたのです。
 日本へは、8世紀に大陸(唐)からの渡来僧『鑑真』によってもたらされたとされ少し大きい文字、大切な宝物として扱われていました。
 室町時代に入ると、砂糖は中国から輸入されるようになり、菓子の原料として用いられ、羊羹などの和菓子が作られ始めました。もちろん高価で、庶民が簡単に手にするシロモノではありませんでした。
 江戸時代の初期には、奄美大島においてサトウキビが栽培され、その後、琉球でも栽培が始まりました。このころから生産量も増え、やっと庶民の口にも入るようになってきました。サトウキビ以外の砂糖は、テンサイ(サトウダイコン)などの植物から精製されるものが大半ですが、その技術が開発されたのは近代に入ってからです。
 現代社会では、砂糖の過剰摂取による健康障害や、むし歯との関係が取りざたされていますが、その反面、疲労回復や脳の唯一のエネルギー源であるグルコースを含むなど効用も認められていますので、難しいところです。
 ただ、砂糖摂取量とむし歯の出現との相関関係は歴然としていて、その理由はむし歯の原因菌は砂糖をエサに増加するからです。そして砂糖は原因菌を歯の表面にくっつける働きもするので、二重の意味でむし歯をつくりやすくするのです。
 やはり、どんなものでも摂りすぎは健康にとって良くないですね。私たちと数千年もの長いおつき合いの砂糖とは、今後もうまく付き合っていきたいものです。

 幼児期(1歳半~3歳ごろ)になると奥歯が生え始め、ドロドロの離乳食から固形物を含んだ幼児食を食べられるようになります。好奇心も旺盛になり、食事が楽しくなる頃です。3歳ごろまでには乳歯が20本生えそろい、食物を歯でしっかり噛めるようになります。
 大人と同じメニューでOKですが、ポイントは、「大人より少しやわらかめ」を意識して調理しましょう。上下の奥歯が完全にそろうまでは野菜を少し長めに茹でたり、食材を薄く切るなど、噛みごたえを残しながらも食べやすくする工夫をします。
 噛みごたえのある野菜やお肉を食べさせたいところですが、芯があったり、厚すぎたりすると、うまく食べられず好き嫌いの原因になることもあるので、焦りは禁物です。しっかりと噛んで食事を楽しめるよう、食材の形や大きさに、注意しましょう。
 この時期の筋肉や顎の成長は、これから生える永久歯の歯並びにも大きく影響します。よく噛むこと、食べることが好きになるように成長を見守りたいですね。

 乳児期、乳歯がどんどん生え、成長がめまぐるしい時期、色々な食材を使って食べるトレーニングを開始しましょう。
 栄養も大切ですが栄養素を摂るというよりは、色々な食材にふれ、噛むことに慣れていく準備期間でもあります。噛む能力は離乳食の段階から身につきます。
 健康な歯を育てるため、栄養バランスとともに”噛みごたえ”を意識すること。しっかり噛んで食べることは、食べ物を噛み砕いて消化をよくする以外にも口内を清潔にしたり、あごを強くしたりなど、様々な効果をもたらします。
 そこでこの時期の調理ポイントは、歯の成長に合わせて商材のかたさを変えることです。歯がほとんどない時は”どろどろ状”、前歯が生えてきたら”小さく軟らかく”、前歯が生えそろったら”かじれる程度に、と段階を踏んで食材の大きさとかたさを変えます(例えば、どろどろのおかゆ→舌で潰せる煮物→歯ぐきと前歯で潰せるパンケーキ)。野菜はゆでて使うのが基本でスプーンで潰したり、みじん切りしたりと工夫しましょう。

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