感染症の原因が細菌だとわかったのは、140年前。ドイツの細菌学者ロベルト・コッホが発見しました。
 その後の研究で、歯周病の原因も細菌であることが明らかになり、歯を磨き細菌を除去することで歯周病を治療・予防できるようになりました。
 むし歯を進行させる細菌がミュータンス菌であるように、歯周病を進行させる菌にもいくつか種類があります。その中でも代表的なのが、ジンジバリス菌(PG菌)です。歯周病は、これらの菌が歯と歯茎の間に潜り込み、繁殖を繰り返すことで進行します。
 歯周病の原因となる細菌群をレッドコンプレックスと名付け、これら細菌に対する治療法が考えられてきました。
 レッドコンプレックスに含まれる細菌はプラーク(歯垢)が多くなると検出されることから、徹底した歯みがきやスケーリングによって除去します。歯茎の中に歯石などがこびりついている場合は、外科処置などで除去し、細菌の繁殖を抑えます。また、抗菌薬を利用することも一つの治療法です。
 近年、大阪大学歯学部の天野敦雄教授によって、PG菌にも種類があり、型によって治療後の再発リスクに違いがあることがわかってきました。繁殖力が強い型に感染すると治療後も継続したメインテナンスが必要となります。
 将来は、より繁殖力が強い型のPG菌に感染する前に、弱い型に感染させるといった予防接種のようなことも行われるかもしれません。