実は、生えたての歯は意外と軟らかいのです。見た目には硬そうに見えますが、硬い状態で生えてくるわけではないのです。完全に硬くなるのには約3年かかるといわれています。
 ですから、エナメル質の再石灰化を促すフッ化物の応用は、歯の生えたてから3年間が最も有効とあれています。
 すなわち乳歯では歯が生えて間もない1歳頃から、永久歯では第1大臼歯が生える5~6歳頃から第2大臼歯が生え終わった後の15歳頃までの間が最も有効とされています。
 また一般に、フッ化物応用によるむし歯予防というと小児・学童期のものと思われがちですが、それ以降の思春期から成人を経て、歯の根の部分のむし歯のリスクの増す高齢者の年代に至るむし歯予防にも大変効果があり、全年代を通じ継続しての使用が望まれます。
 アメリカではこのフッ化物応用を全成人患者の32.2%に実施しているという報告がありますが、おそらく日本では0%に近い数字になるのではないでしょうか。
 その理由として我が国での永久歯に対するフッ化物応用による予防処置が健康保険で給付されないという事情が考えられるのですが、難しいところですね。
 常日頃からのフッ化物配合歯磨剤の使用を含め、定期健診の際には是非このフッ化物応用による処置を受けていただきたいものです。