夏場を迎えると、発生しやすくなる食中毒。原因の大半は細菌性のものです。
よく噛んで食べることが、細菌性の食中毒予防に一役買うことをご存知でしょうか。

胃酸の力
食品に付着した細菌が少量であれば、食べたからといって、必ずしも食中毒にかかるわけではありません。
胃液は強酸性のため、殺菌作用があるからです。
コレラ菌でさえ胃液を1滴落とせばたちまち死滅するとも言われています。
加えて、唾液そのものにも強い殺菌効果があります。
ところが、何らかの理由で十分に殺菌されず、小腸に達すると、菌が増殖し、食中毒を起こすと考えられています。
その原因の一つが、よく噛まずに飲み込んでしまうこと。
噛み砕かずに飲み込まれた食物は胃の中で胃液に十分に触れることができず、細菌が生き残ってしまうのです。
もう一つは、胃の中の酸性度が低くなり殺菌効果が弱まる場合です。
食事の時にお茶や水を多量に飲んだり、胃薬によって胃液の分泌が抑えられていると、細菌が死滅しないと考えられます。
柔らかい食物が好まれるようになり、現代人は咀嚼回数が減っていると言われます。
子どもたちが、給食のパンをちぎってスープにつけて食べたり、牛乳で流し込みながら食べるなど、よく噛まずに流し込む「水洗式咀嚼」も珍しくありません。
むし歯が多いなど噛めない子どもほど流し込みがちに食べるそうです。
歯を大切にし、食事中の水分摂取量を減らしてよく噛むことを心掛けたいですね。