枚方市の「宮園歯科日記」

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タグ:歯周病

 歯周病は、口腔内だけでなく、全身にあらゆる影響を及ぼすことが明らかになってきました。最近の研究では、妊娠している女性が歯周病にかかっている場合、早産のリスクが5~7倍に膨らむと報告されています。
 歯周病の炎症があると、子宮を収縮させる作用のある物質(PGE₂)の血中濃度が高まります。PGE₂は陣痛促進剤として使われるほど子宮収縮作用があります。また、胎盤から子宮内へ感染した歯周病菌により、絨毛膜羊膜炎(絨網膜と羊膜に細菌が感染し、炎症を起こした状態)が起こります。これが早産を引き起こす一因だと考えられています。
 妊娠初期は食生活が不規則になりがちな上、つわりによっていつも通りのブラッシングができず、お口の中が不潔になりやすくなります。食後すぐに水で強めにうがいをしたり、キシリトールガムや洗口剤を利用するなどして、苦しい時期を乗り切りましょう。また、妊娠中でも歯周病の治療をすれば、炎症を最小限に抑え、早産のリスクを軽減することができます。妊娠中に一度は歯科検診を受けるといいですね。
 妊娠してから歯周病の治療をするのではなく、将来出産したいとお考えの女性の方は、普段からデンタルケアをしっかり行い歯周病の予防をすることが大切です。

 感染症の原因が細菌だとわかったのは、140年前。ドイツの細菌学者ロベルト・コッホが発見しました。
 その後の研究で、歯周病の原因も細菌であることが明らかになり、歯を磨き細菌を除去することで歯周病を治療・予防できるようになりました。
 むし歯を進行させる細菌がミュータンス菌であるように、歯周病を進行させる菌にもいくつか種類があります。その中でも代表的なのが、ジンジバリス菌(PG菌)です。歯周病は、これらの菌が歯と歯茎の間に潜り込み、繁殖を繰り返すことで進行します。
 歯周病の原因となる細菌群をレッドコンプレックスと名付け、これら細菌に対する治療法が考えられてきました。
 レッドコンプレックスに含まれる細菌はプラーク(歯垢)が多くなると検出されることから、徹底した歯みがきやスケーリングによって除去します。歯茎の中に歯石などがこびりついている場合は、外科処置などで除去し、細菌の繁殖を抑えます。また、抗菌薬を利用することも一つの治療法です。
 近年、大阪大学歯学部の天野敦雄教授によって、PG菌にも種類があり、型によって治療後の再発リスクに違いがあることがわかってきました。繁殖力が強い型に感染すると治療後も継続したメインテナンスが必要となります。
 将来は、より繁殖力が強い型のPG菌に感染する前に、弱い型に感染させるといった予防接種のようなことも行われるかもしれません。

むし歯や歯周病などのお口の病気を放置していると、血液の流れに乗って「ばい菌」が他の臓器に運ばれ、病気を引き起こしたり、悪化させたりすることがあります。この考え方を「歯性病巣感染説」と言います。
人間の身体の各器官は、神経や動静脈などでつながっています。一つの病気が身体全体に影響し合うというのは、ごく自然なことだと思います。一般的に、健康な時には何ともなく、抵抗力が落ちてくると症状が出てくるということは良くあります。
心臓病や腎臓疾患、肝臓の機能障害あるいは急性の関節リウマチの数パーセントは放置されたむし歯が原因とされています。最近の研究では、歯周病と心血管疾患、呼吸器疾患、糖尿病、骨粗鬆症、妊娠に付随する問題(早産・低出生体重児など)との関連まで指摘されるようになってきました。
つまり歯周病の予防や治療は身体の健康維持・増進につながる可能性があることから、お口のセルフケアが今まで以上に重要になっています。
歯周病は特に歯間部隣接面のコル(Col)と呼ばれる部分から発症すると考えられています。
コルは、くぼんでいてプラークが停滞しやすい場所です。粘膜の表面は軟らかくなっており、感染に対しても弱い組織です。歯周病の多くはここから進行していくと言われています。
コルに適度な刺激を与えれば、粘膜が硬くなり、抵抗力を強めることができます。具体的には、▽ブラッシング後のデンタルフロスを使ったフロッシング▽歯間ブラシを使って歯と歯の間の汚れを取り除くことなどを徹底することをお勧めします。

 冷たいものや熱いもの、または甘いものを口に含んだり、歯を磨いた時にチクッと痛みを感じることがあります。このような症状を「象牙質知覚過敏症」といいます。
 原因は、歯周病(歯ぐきの病気)や加齢で歯ぐきが下がり、歯の根元が露出してしまうことなどが考えられます。歯の表面には、エナメル質といった外からの刺激を防ぐ役割をしている組織がありますが、歯の根元にはありません。そのため、歯髄(神経)が刺激され、”しみる”ような痛みを招きます。
 また、間違った歯みがきが原因となることもあります。「一生懸命磨こう」と思い、力を入れすぎたり、歯みがき剤の使いすぎで歯が摩耗したりすることもありますので、注意してくださいね。
 一度下がってしまった歯ぐきは、残念ながら元には戻りません。処置としては、薬を塗布したり、レーザー照射やプラスチックでカバーして刺激が伝わらないようにします。それでも症状がひどい場合は、歯の歯髄(神経)を処置し、痛みを取り除きます。
 症状が軽ければ、歯みがきの方法で改善することもあります。歯垢をつけておくと、ますます進行しますので、毎日丁寧にブラッシングしてくださいね。

 歯周病治療によって病状が安定した歯周組織を維持するために行われる治療のことです。
 一般的に3ヶ月ごとに来院し、病状の管理を行います。SPTの間隔は、患者さんの口腔状態や病状によって1ヶ月の場合もあり、2ヶ月、3ヶ月と延ばしていくこともあります。
 ご自宅でのセルフケアでは、頑張ってブラッシングをしても、プラーク(歯垢)は半分程度しか取れていないといわれています。
 歯科医院では、SPT治療で、フロス(糸ようじ)なども併用したプラークコントロール、歯石除去、咬合調整などのプロフェッショナルケアを行います。
 歯周病は成人が歯を失う一番の原因です。歯と歯ぐきを健康な状態に維持していくため、3~6ヶ月ごとの定期的なメインテナンス受診もお勧めです。

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