むし歯や歯周病などのお口の病気を放置していると、血液の流れに乗って「ばい菌」が他の臓器に運ばれ、病気を引き起こしたり、悪化させたりすることがあります。この考え方を「歯性病巣感染説」と言います。
人間の身体の各器官は、神経や動静脈などでつながっています。一つの病気が身体全体に影響し合うというのは、ごく自然なことだと思います。一般的に、健康な時には何ともなく、抵抗力が落ちてくると症状が出てくるということは良くあります。
心臓病や腎臓疾患、肝臓の機能障害あるいは急性の関節リウマチの数パーセントは放置されたむし歯が原因とされています。最近の研究では、歯周病と心血管疾患、呼吸器疾患、糖尿病、骨粗鬆症、妊娠に付随する問題(早産・低出生体重児など)との関連まで指摘されるようになってきました。
つまり歯周病の予防や治療は身体の健康維持・増進につながる可能性があることから、お口のセルフケアが今まで以上に重要になっています。
歯周病は特に歯間部隣接面のコル(Col)と呼ばれる部分から発症すると考えられています。
コルは、くぼんでいてプラークが停滞しやすい場所です。粘膜の表面は軟らかくなっており、感染に対しても弱い組織です。歯周病の多くはここから進行していくと言われています。
コルに適度な刺激を与えれば、粘膜が硬くなり、抵抗力を強めることができます。具体的には、▽ブラッシング後のデンタルフロスを使ったフロッシング▽歯間ブラシを使って歯と歯の間の汚れを取り除くことなどを徹底することをお勧めします。