いつまでたってもプラークが除去されないと、歯肉の局所では免疫反応に参加するマクロファージやリンパ球がどんどん増えていきます。免疫グロブリン(抗体)をつくる形質細胞もますます増えていきます。しかしもともと歯肉は、このような炎症反応や免疫反応が起こることを想定してつくられておらず、予備の”空き地”といえるものではないのです。
 炎症が慢性化して、免疫反応が広い範囲に及ぶと、細菌をやっつけるために現れた大量のマクロファージやリンパ球、形質細胞のためのスペースが必要になります。このスペースを確保するために、サイトカインをつくって、健康な骨組織や結合組織を破壊するのです。歯肉での緊急事態に対処するために歯槽骨を吸収し、結合組織を破壊しているのです。
 プラークが完全に除去されると、大量のマクロファージやリンパ球、形質細胞は消えて、炎症とそれにともなう免疫反応は治まります。そうしてから、歯周組織では復興のための建築(つまり再生)が始まります。