エックス線検査は目で直接見ることのできない歯の中や顎の骨の診査・診断を可能にしました。 治療経過を確認する上でも欠かせません。
 それでは、1回の歯科治療におけるエックス線診査で、どれくらい被曝するのでしょうか?
 NPO法人日本歯科放射線学会によると、一般的なパノラマ撮影(お口の中全体を1枚のレントゲン写真として撮影する方法)では、0.04mSv(ミリシーベルト)で、通常の局所撮影ではそれ以下です。これは集団検診などで撮影する胃のレントゲン写真の放射線量の100~400分の1程度。歯科医院で撮影されるエックス線写真の安全性は高いと言えるのではないでしょうか。
 厳しい基準を設けていると言われる欧州放射線リスク委員会(ECRR)では、年間許容被曝線量
を0.1mSvとしています。歯科医院でエックス線撮影を受けても、この許容量に達することはありません。
 妊娠中の女性の場合でも妊娠全期間を通じて、歯科医院で撮影するレントゲン写真は安全であると言えます。ただし、妊娠に気付いたら、もちろんレントゲン写真の撮影は最小限にとどめるべきであるということは言うまでもありません。
 実は私たちは、通常の生活を送っていると、宇宙線、地殻からの放射線といった自然界の放射線を浴びています。世界の平均被曝線量は2.4mSvで日本ではそれ以下といわれています。こうした事例からも歯科医院での医療被曝の少なさがわかります。