最近、治療終了後も定期的にメンテナンスに来院される方が増えています。歯周病の予防や進行を止めるには歯周ポケット(歯と歯肉の隙間)の中の清掃や、歯石除去するために、歯科医療機関で専門的なクリーニング(PMTCといいます)を受けて、日常のブラッシングで取り残した汚れを取り除く大切さが知られるようになりました。
 ところが、同じように定期的にメンテナンスを受けていても、良好な状態を維持している患者さんと、来院の度に何かしらのトラブルが起きている患者さんに分かれます。
 これはなぜでしょうか?
 それは、治療からメンテナンスに移る際の患者さん一人ひとりのお口の状態に違いがあるからです。
 日常的な口腔ケアが十分にできて、今まであまりむし歯になったことのない方もいれば、すでに大きな修復物を装着されている方、歯ぐきがひどく腫れたことのある方、歯並びに問題があって磨き残しが多い方など、さまざまです。食習慣や食事内容も関係しています。
 その結果、同じようにメンテナンスを受けていてもその効果には個人差が出てしまいます。
 こうしたことからも、歯科のメンテナンスは画一的なものでは効果が十分に発揮されません。
 私たち医療従業者はそれぞれの患者さんのリスク・生活習慣を丸ごと理解したうえで、ケアメニューを検討することが必要と考えています。
 その対応の方法は、例えば、メンテナンスの期間(1か月~6か月)や、メンテナンスの内容(フッ化物の塗布、歯磨き指導)、もしくは再治療して、メンテナンスし易い環境を作っていく等があります。
 こうした判断のために、メンテナンスの際にむし歯の有無や、磨き残しをチェックする口腔内検査、歯周病の進行具合をチェックする歯周病診査、必要に応じたX線診査などを行う場合もあります。
 やはり、歯科疾患予防の第一はセルフケア・セルフメンテナンスです。PMTCを通じて日常的にも適切な口腔ケアを続けてもらえるようサポートに努めています。