枚方市の「宮園歯科日記」

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カテゴリ: 虫歯

 80才になってもご自身の歯でバリバリ食べることができたら、これほど幸せなことはありません。
 確かに歯並びの良し悪しは、むし歯や歯周病に関係していますし、最近の調査結果により、むし歯や歯周病に羅患しやすく、極端に病気の進行が早い人がいるということも分かってきました。しかしこれらの病気は遺伝的になりやすい人がいるということであって、必ずなるということではありません。
 むし歯や歯周病は、あくまでも細菌による「感染症」で、歯垢の過度の沈着がこれらの細菌を増殖させてしまいます。そのため定期的なメンテナンスが必要となってくるのです。大切な歯を日頃のお手入れと定期的メンテナンスで守っていきましょう。

 みんなが大好き、甘くておいしいお砂糖。お菓子やデザート、お料理まで幅広く使われ、『糖』は私達の食生活に欠かせない大切な栄養源。
 しかし、むし歯をおこすお口の中のにっくきバイキン達にも実は必要で…。
 『糖』というとすぐ『砂糖』を連想しますが、『糖』にも色々種類があり、パンやご飯、果物、野菜などにも含まれています。母乳にも『乳糖』が入っています。
 さて、むし歯はお口に住む菌が出す酸によっておこりますが、この酸を出すのに重要な栄養源が『砂糖』です。むし歯菌にも好き嫌いがあり、菌が利用できる糖とできない糖があるのです。
 甘くておいしいけど菌が苦手で利用できない糖。それが、“キシリトール!”むし歯予防の切り札です。
 欧米ではかなり前から利用されており、日本では1997年に食品添加物として認可されました。野菜、果物にも含まれている安全な甘味料です。
 気になる効果は、菌の力を弱め、歯垢をはがれやすくし酸を作り出さないことです。また、菌は頑張って代謝しようとして疲れてしまい、菌の量も減ってきます。
 むし歯予防の補助として、ガムやタブレットなどで摂取してみてはいかがですか?あくまでも補助として。おいしくてむし歯予防できるのはうれしいですね。

 先日、患者さんが「むし歯予防のために子どもと一緒にフッ化物配合歯磨き剤を使うようにしている」とおっしゃっていました。なぜフッ化物によって、むし歯が予防できるのでしょうか。
 一般の歯磨き剤では、プラーク(歯垢)除去によるむし歯予防効果は期待できますが、100%プラークを取り除くことはできません。しかし、フッ化物配合歯磨き剤を使うと、プラークの中にいるむし歯菌の働きを弱めて、歯を溶かす酸が作られるのを抑えてくれます。さらに、フッ化物が初期むし歯を自然に修復してくれます。
 しかし、その予防効果は、むし歯になる歯が10本あるとすれば、2~3本がむし歯にならなくてすむという程度のことです。
 フッ化物配合歯磨き剤を使っていれば絶対むし歯にならないということではありません。「フッ化物配合歯磨き剤+正しいブラッシング+食事コントロール」の3つを実行することが大切です。

大人でも、歯ぐきが下がることで、歯の根の部分が露出しいてくると、そこにむし歯ができやすくなります。このむし歯を「根面う蝕」といい、年をとるごとに増加する傾向があります。
 根面う蝕は発見しにくく、治療が難しいため、歯を失うことにもなりかねません。根面をはじめ、つめものの周辺や矯正治療中の歯、唾液分泌の低下したお口の中(高齢者や生活習慣病の患者さんが服用している薬剤には、副作用として唾液分泌を抑制する薬剤が多くあります)など、大人もむし歯の危険があります。
 むし歯が進行して歯の表面に穴があいてしまったら元には戻りません。ごく初期のむし歯ならフッ化物配合歯磨剤などのフッ化物の積極的な応用を適切なブラッシングと食事コントロールなどと組み合わせることによって、進行を停止させ、修復することができます。歯科医院でフッ化物歯面塗布をしてもらうことは、非常に有効です。

 実は、生えたての歯は意外と軟らかいのです。見た目には硬そうに見えますが、硬い状態で生えてくるわけではないのです。完全に硬くなるのには約3年かかるといわれています。
 ですから、エナメル質の再石灰化を促すフッ化物の応用は、歯の生えたてから3年間が最も有効とあれています。
 すなわち乳歯では歯が生えて間もない1歳頃から、永久歯では第1大臼歯が生える5~6歳頃から第2大臼歯が生え終わった後の15歳頃までの間が最も有効とされています。
 また一般に、フッ化物応用によるむし歯予防というと小児・学童期のものと思われがちですが、それ以降の思春期から成人を経て、歯の根の部分のむし歯のリスクの増す高齢者の年代に至るむし歯予防にも大変効果があり、全年代を通じ継続しての使用が望まれます。
 アメリカではこのフッ化物応用を全成人患者の32.2%に実施しているという報告がありますが、おそらく日本では0%に近い数字になるのではないでしょうか。
 その理由として我が国での永久歯に対するフッ化物応用による予防処置が健康保険で給付されないという事情が考えられるのですが、難しいところですね。
 常日頃からのフッ化物配合歯磨剤の使用を含め、定期健診の際には是非このフッ化物応用による処置を受けていただきたいものです。

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