枚方市の「宮園歯科日記」

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カテゴリ: 歯周病

 感染症の原因が細菌だとわかったのは、140年前。ドイツの細菌学者ロベルト・コッホが発見しました。
 その後の研究で、歯周病の原因も細菌であることが明らかになり、歯を磨き細菌を除去することで歯周病を治療・予防できるようになりました。
 むし歯を進行させる細菌がミュータンス菌であるように、歯周病を進行させる菌にもいくつか種類があります。その中でも代表的なのが、ジンジバリス菌(PG菌)です。歯周病は、これらの菌が歯と歯茎の間に潜り込み、繁殖を繰り返すことで進行します。
 歯周病の原因となる細菌群をレッドコンプレックスと名付け、これら細菌に対する治療法が考えられてきました。
 レッドコンプレックスに含まれる細菌はプラーク(歯垢)が多くなると検出されることから、徹底した歯みがきやスケーリングによって除去します。歯茎の中に歯石などがこびりついている場合は、外科処置などで除去し、細菌の繁殖を抑えます。また、抗菌薬を利用することも一つの治療法です。
 近年、大阪大学歯学部の天野敦雄教授によって、PG菌にも種類があり、型によって治療後の再発リスクに違いがあることがわかってきました。繁殖力が強い型に感染すると治療後も継続したメインテナンスが必要となります。
 将来は、より繁殖力が強い型のPG菌に感染する前に、弱い型に感染させるといった予防接種のようなことも行われるかもしれません。


糖尿病患者のうち、歯周病が原因である比率はデータとしてはありませんが、歯周病が国内に8000万人で、糖尿病が予備軍いれて2200万人ですから、糖尿病患者はほぼ歯周病を持っていると考えられています。

歯周ポケットに入り込んで繁殖した細菌が出す炎症性ホルモンが、歯肉から血管に入り込み、血糖値を下げるインスリンの働きを弱めることがわかっています。
体はなんとかして、より多くのインスリンを作ろうとしますが、これが続くと、インスリンを作る細胞が疲弊し、糖尿病を発症します。

もう1つ、唾液が少なくなることによる味覚障害も糖尿病を悪化させます。
歯周病がひどくて味がわからなくなって偏食になる人は山ほどいます。
ハンバーガーとかフライドチキンとか濃い味にながれ血糖値が上がります。

歯周病が糖尿病の原因になることは医学的に合意を見ているのですが、「現場の連携はほとんどできていない」のが現状です。

むし歯や歯周病などのお口の病気を放置していると、血液の流れに乗って「ばい菌」が他の臓器に運ばれ、病気を引き起こしたり、悪化させたりすることがあります。この考え方を「歯性病巣感染説」と言います。
人間の身体の各器官は、神経や動静脈などでつながっています。一つの病気が身体全体に影響し合うというのは、ごく自然なことだと思います。一般的に、健康な時には何ともなく、抵抗力が落ちてくると症状が出てくるということは良くあります。
心臓病や腎臓疾患、肝臓の機能障害あるいは急性の関節リウマチの数パーセントは放置されたむし歯が原因とされています。最近の研究では、歯周病と心血管疾患、呼吸器疾患、糖尿病、骨粗鬆症、妊娠に付随する問題(早産・低出生体重児など)との関連まで指摘されるようになってきました。
つまり歯周病の予防や治療は身体の健康維持・増進につながる可能性があることから、お口のセルフケアが今まで以上に重要になっています。
歯周病は特に歯間部隣接面のコル(Col)と呼ばれる部分から発症すると考えられています。
コルは、くぼんでいてプラークが停滞しやすい場所です。粘膜の表面は軟らかくなっており、感染に対しても弱い組織です。歯周病の多くはここから進行していくと言われています。
コルに適度な刺激を与えれば、粘膜が硬くなり、抵抗力を強めることができます。具体的には、▽ブラッシング後のデンタルフロスを使ったフロッシング▽歯間ブラシを使って歯と歯の間の汚れを取り除くことなどを徹底することをお勧めします。

 歯周病治療によって病状が安定した歯周組織を維持するために行われる治療のことです。
 一般的に3ヶ月ごとに来院し、病状の管理を行います。SPTの間隔は、患者さんの口腔状態や病状によって1ヶ月の場合もあり、2ヶ月、3ヶ月と延ばしていくこともあります。
 ご自宅でのセルフケアでは、頑張ってブラッシングをしても、プラーク(歯垢)は半分程度しか取れていないといわれています。
 歯科医院では、SPT治療で、フロス(糸ようじ)なども併用したプラークコントロール、歯石除去、咬合調整などのプロフェッショナルケアを行います。
 歯周病は成人が歯を失う一番の原因です。歯と歯ぐきを健康な状態に維持していくため、3~6ヶ月ごとの定期的なメインテナンス受診もお勧めです。

 いつまでたってもプラークが除去されないと、歯肉の局所では免疫反応に参加するマクロファージやリンパ球がどんどん増えていきます。免疫グロブリン(抗体)をつくる形質細胞もますます増えていきます。しかしもともと歯肉は、このような炎症反応や免疫反応が起こることを想定してつくられておらず、予備の”空き地”といえるものではないのです。
 炎症が慢性化して、免疫反応が広い範囲に及ぶと、細菌をやっつけるために現れた大量のマクロファージやリンパ球、形質細胞のためのスペースが必要になります。このスペースを確保するために、サイトカインをつくって、健康な骨組織や結合組織を破壊するのです。歯肉での緊急事態に対処するために歯槽骨を吸収し、結合組織を破壊しているのです。
 プラークが完全に除去されると、大量のマクロファージやリンパ球、形質細胞は消えて、炎症とそれにともなう免疫反応は治まります。そうしてから、歯周組織では復興のための建築(つまり再生)が始まります。

喫煙者の歯や歯ぐきが変色するのは、約4千種とも言われる化学物質からなるタールによるもの。タールには発ガン物質をはじめ200種もの有害な物質が含まれているため、お口の中の歯ぐき、舌、粘膜のガンのリスクを高めます。
 有害物質に加え、喫煙によって取り込まれる一酸化炭素が血流悪化を引き起こし、歯ぐきの血流を滞らせ、歯周病を悪化させる原因にもなります。喫煙者は非喫煙者に比べ3倍も歯周病になりやすいのです。禁煙は歯周病治療の最初の一歩です。
 歯周病は成人が歯を失う最大の原因であるばかりでなく、口臭も引き起こします。お口の健康に喫煙は大敵です。

 歯周病の治療で歯石の除去をする際に、様々な道具を使用します。中でも威力を発揮するのが、「ジジジー」と音が鳴る器具です。正式名を「超音波スケーラー」といい、器具の先端は毎秒約2万5千~4万回も振動し、歯石を破壊し、除去する優れものです。
 ところが、患者さんからは、「これで歯や歯ぐきが傷付いたりしないですか?」「歯が削れていそうで怖い・・・」と心配されることが多いのも事実。「ジジジー」という振動音を出しますが、歯を削る機械ではありませんのでご安心ください。
 特に、歯と歯ぐきの間に溜まった大きな歯石の除去に効果的。グラついた歯の歯石の除去にも使え、歯や歯ぐきへのダメージを最小限に抑えます。
 歯石は放置すると、歯周病を進行させるリスクを高めます。「ジジジー」という音は恐いかもしれませんが、定期健診での歯石除去を心がけてください。

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