枚方市の「宮園歯科日記」

大阪 枚方市の歯医者さん 【宮園歯科医院】 より、 「当院のお知らせ」 と 「歯科の耳寄り情報」 をお届けします。

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カテゴリ: 予防歯科

 ◇知識の多さより価値観
 「デンタルIQ」という言葉をご存知でしょうか。IQという言葉からは、歯に関する知識の多さをイメージされるかもしれません。正しくは、その人の“歯とお口の健康への関心・意識の度合い”を示す言葉です。別の言い方にすると、「歯と口の健康についてどのくらい大切に考えているか」ということになります。 
 自分の歯を大切だと考えて、実践する人が「デンタルIQの高い人」です。たとえ、歯科医師や歯科衛生士といった歯科の知識が多い専門職であっても、自分の歯を大切に考えていなくて、歯を大切にする習慣がないとすれば、デンタルIQは低いといえます。
 歯を健康に保つには、生活習慣や日々のセルフケアが重要です。そのためには、歯の健康に関する知識も必要ですが、歯は重要であるという「価値観」を持つことが大前提になるのです。
 生涯、自分の歯で食べることを目指す「8020運動」は、健康長寿における歯の役割を理解し、歯を大切にするという価値観を持つことが出発点になります。

 長年、お付き合いのある患者さんが「むし歯になったようなんです」と久しぶりに来院しました。これまでは良好なお口の状態を維持していたので、首を傾げながら口腔内をチェックしました。すると、1、2、3…合計6本もむし歯になっており、溶けたような歯までありました。
 ここまで悪化するのは何か原因があるはず。患者さんに「普段の生活や食事で変わったことはありませんか」と尋ねると、「健康のためにサプリメントを摂るようになりました」とのこと。知人から勧められ、1年前から食後にクエン酸のタブレットを舐めるようになったと話していました。
 酸性の強い食べ物や飲み物は歯に大敵です。歯の表面のエナメル質を溶かし、むし歯のリスクを高めます。もし摂取するなら、飲食後に必ず水やお茶でお口をすすいでくださいね。

◆リスクが高い部位
  前から数えて8番目の永久歯は、親の手を離れるころに生えてくることから「親知らず」「智歯」と呼ばれています。個人差はありますが、一般的に17~20歳過ぎにかけて生えてきます。なかには斜めや横向きに生える人、歯肉に埋まったまま生えてこない人もいます。「親知らず」はお口の一番奥に生えるため、ブラッシングが不十分になりがちです。プラークがたまると歯肉に腫れや痛みが生じる「智歯周囲炎」を引き起こします。むし歯・歯周病のリスクが高い部位のため、特に注意が必要です。斜めや横向きに生え、隣の歯を圧迫する場合は抜歯が必要になることもあります。
  手入れの方法は、歯ブラシの毛先が「親知らず」に届くように意識して磨くことが大切です。大きく口を開けるのではなく、頬の力を抜き斜め・横からも歯ブラシを当てるようにしましょうブラシ部分が小さい「タフトブラシ」を使えば、「親知らず」の奥側や頬側も効果的に磨くことができます。

 むし歯や歯周病を予防し、再発・悪化させないためには歯垢や歯石を取り除く手入れ(ケア)が欠かせません。予防効果を高めるには、「セルフケア」と「プロフェッショナルケア(プロケア)」の2種類のケアが大切です。
 ◇毎日、自分で
 「セルフケア」は、日常的に自分で行うケアのことで、歯ブラシや歯間ブラシ、フロスなどを使って歯垢などを取り除きます。毎日のセルフケアが歯科予防の基本です。
 ◇専門家が処置
 「プロケア」では、専門家である歯科医師や歯科衛生士が、特別な器具を用いてセルフケアでは除去できない歯石や歯垢、着色汚れを取り除きます。染出しで磨き残しのチェックも行います。
 歯周病の状態を知るには、歯周ポケットをプローブという器具を使って調べることが必要です。歯周病の進行や歯茎の炎症、歯石の付着状況をつかむこともプロケアの一つです。
 プロケアにはこうした処置だけでなく、適切な歯みがき方法などを教わるブラッシング指導も含んでいます。歯並びやかみ合わせなど、お口の環境は人それぞれです。一人ひとりにあったセルフケアのポイントを提案することも大事な仕事です。
 また、高齢者や障がいのある人たちで、セルフケアが困難な患者さんへの定期的なケアも行います。
 日々の生活で適切なセルフケアと定期的なプロケアを継続することが、生涯に渡って健康な歯を保つためには需要です。

 新型コロナウイルスの感染予防のため、マスクが手放せない日々が続いています。新型コロナによる肺炎で、既に1500人(2020年9月)以上が亡くなっていますが、実は他にも怖い肺炎があるのをご存じでしょうか。それは誤嚥性肺炎です。
 誤嚥性肺炎による2019年の死者数は4万人超で、国内の死因の第六位です。新型コロナ肺炎よりもはるかに死亡するリスクが高いと言えるでしょう。
 誤嚥というのは、飲み込んだ唾液や水分、食べ物などが誤って気管に入ってしまうことです。誤嚥した際に口腔内の細菌などが気管から肺に入り込むことで肺炎を発症します。
 誤嚥性肺炎の予防には口腔ケアが欠かせません。しっかりと歯みがきをして、口の中の細菌を繁殖させないことが大切です。高齢者の方は、飲み込む力や抵抗力が落ちてきていますので、特に注意してくださいね。

 市販されている多くの歯みがき剤にフッ素が配合されています。フッ素入り歯みがき剤を使用することでむし歯予防効果が期待できますが、たくさんうがいをしてしまうとフッ素が流れてしまうため注意が必要です。フッ素入り歯みがき剤を使用するときには、少量の水でゆすぐ程度に留めましょう。また、歯みがきをした後に、フッ素入り洗口液やジェルなどを併用するとさらに高い効果が期待できます。
 様々なメーカーからフッ素入りのセルフケア用品が販売されています。歯科医院でのみ購入できるものもありますのでかかりつけの先生に相談してみてくださいね。

 歯科医院でのフッ素塗布や歯みがき剤に含まれるフッ素は、唾液に溶け込んで3つの働きをします。
 ①歯の再石灰化を促す
 飲食をするたびに、お口のなかでは「脱灰」と「再石灰化」が繰り返されます。脱灰は、飲食物に含まれる酸や細菌がつくる酸の影響で歯の成分(カルシウムやリン酸)が溶けだすこと。再石灰化は溶けだした歯の成分が唾液の作用で歯に戻り、修復することです。脱灰が続くとむし歯になってしまいます。
 フッ素は溶けだした歯の成分を再び沈着させ、再石灰化を促進させる働きがあります。初期のむし歯なら、フッ素による再石灰化の促進で改善することが分かっています。
 ②むし歯菌の活動を抑える
 プラーク内にフッ素が入り込み、細菌の活動を邪魔します。むし歯の原因となる酸をつくる力を抑えます。
 ③歯を強くする
 口の中にフッ素があると、再石灰化するときに歯の結晶を硬くし、酸に溶けにくい歯になります。結晶が硬くなるには、フッ素塗布やフッ素入りの歯みがき剤などを使い続けることが大切です。

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